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サンマ寿司(三重県)

(秋刀魚 ずし みえけん)

やせて脂の少ないサンマを使った、東紀州に伝わる味

東紀州で伝統的に楽しまれている「さんま寿司」は、脂が少ないサンマを使用しています。サンマは頭を落とし、内臓を取り除いてから三枚におろし、塩を振り、ゆずの輪切りが入った酢に漬け込みます。漬ける時間は約40分で、適度な漬け加減がポイントです。その後、一昼夜寝かせたものをシャリとともに巻き、からしを添えて完成です。ほど良い酸味とサンマの旨みが口の中に広がり、さっぱりとした後味が特徴で、箸が進む一品です。

主な伝承地域:東紀州食文化圏
主な使用食材:サンマ、米

脂の少ないサンマ

サンマは9月頃に北海道沖で捕れ、11月下旬頃から三重県沖に南下してくる回遊魚です。熊野市で漁獲する頃は、サンマの脂肪が落ち、姿もほっそりしてあっさりしているため、丸干しや刺身、酢で締めたものなどが美味しく楽しめます。祭りや正月などの祝い事の際に各家庭でつくられ、引き出物としても喜ばれています。

さんま寿し発祥の地

熊野市有馬町にある産田神社では、「奉飯(ほうはん)」と呼ばれる行事があります。この行事では、子どもたちに中骨がついたままの「さんまずし」を食べさせ、健やかな成長を願います。産田神社の鳥居前には「さんま寿し発祥の地」と書かれた案内があります。

作り方

熊野灘でとれた脂肪分の少ないサンマを使います。熊野市周辺では背開き、尾鷲市周辺では腹開きにし、塩漬けしてから水洗いし、塩抜きをします。

その後、柑橘の酢(酸柑、酸酢ともいう)に漬け込み、すし飯の上に尾と頭のままの姿でのせて締めます。からしやしょうが、ごまなどが添えられることもあります。

地域によってサンマの開き方が異なりますが、熊野市ではかつて武士の世界で腹開きが敬遠されたため、背開きでつくられることが多いです。

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名称
サンマ寿司(三重県)
(秋刀魚 ずし みえけん)

尾鷲・熊野

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