昔の街並みが今なお大切に保存されている町、関。かつて東海道の宿場町「関宿」として栄えたその町で、1642年、徳川三代将軍・家光の時代(江戸時代)に創業した和菓子屋「深川屋(ふかわや)」で作り続けられている銘菓が「関の戸」である。和菓子屋は忍びを隠すため隠れ蓑だったとも言われ、伊賀流の忍者の末裔が考案した和菓子が現在まで継承されている。舌触りのよい赤小豆のこしあんを薄くのばした白い求肥皮で包み、阿波特産の和三盆をまぶした「関の戸」は、関の町を見守る鈴鹿の峰に降り積もる雪をイメージして作られたと言われている。素朴な餅菓子ではあるが、甘すぎずとても上品な味わい。長きに渡り、ひとつひとつ丁寧に丹誠込めて作られた「関の戸」は実に繊細である。