地元産の「御薗大根」をはさ掛けし約2週間の間、天日で乾燥させ、米ぬか、塩、柿の皮、なすの葉、唐辛子を用いて漬込み、長期間常温で乳酸菌発酵、熟成させた昔から伝わる製法でつくられる漬物。
【歴史・由来】
沢庵和尚により伝わった沢庵づくりは江戸時代からはじまったとされ、現在の主な原材料となる「御薗大根」は昭和初期に三重県農業試験場がたくあん用に伝統品種を改良しつくったものだ。繊維質が豊富なため歯ごたえが良く、乾燥させると甘みが増し、美しい黄金色になることが特徴。
【食べるシーン】
ご飯のおかずはもちろん、お酒のおつまみなど。
【提供店】
伊勢市の漬物店など。
伊勢たくあんは、江戸時代の後期に伊勢市周辺の農家が副業として始め、その後明治期には関西でも販売され、お伊勢参りの参拝者を通じて全国的に知られるようになりました。
伊勢たくあんの原料である「御薗大根」は、伊勢で生まれた白首大根の中でもきめの細かい品種です。この大根は沢庵漬けにすると歯ごたえが良く、そのおいしさが最大限に引き立ちます。食物繊維が豊富で、乾燥させると甘みが増します。以前は宮重大根が主に使用されていましたが、伊勢たくあんが商品化される過程で、宮重大根を漬けると黒く変色する問題が生じました。そこで、この問題を解決するために新しい品種として開発されたのが御薗大根です。
昭和初期に三重県度会郡御薗村(現在の伊勢市)でたくあん用に栽培されていた伝統的な品種を、農業研究所が改良したものです。この大根は繊維質が豊富で歯ごたえが良く、乾燥すると甘みが増し、漬けると美しい黄金色になるのが特徴です。
しかし、食習慣の変化によりぬか漬けの消費が激減し、御薗大根の生産面積も減少してしまいました。そこで、三重県漬物協同組合が中心となり、御薗大根栽培研究会を発足させ、安定生産・品質向上を目指した栽培方法の研究や地元農業者への栽培推進・技術指導などに力を入れてきました。その結果、現在では生産面積が10haほどまで回復しました。
地元で生産された御薗大根は、「はさ掛け」と呼ばれる製法で約2週間天日で乾燥し、米ぬか・塩・柿の皮・なすの葉・唐辛子を使用して漬け込まれます。この伝統的な製法によって、たくあんは長期間常温で乳酸菌によって発酵・熟成させられています。