天正時代、尾張や三河方面から伊勢に訪れる参拝客はみな渡し船で伊勢湾を渡ってきた。その船着き場には、餅を売る店「角屋」、うどんとすしを出す店「湊屋」の合計2軒しかなかった。「二軒茶屋餅」は、まさにその名の通り、この二軒に由来していると言われる。二軒茶屋餅を作る角屋の創業は天正年間(1575年)。もち米を水につけて蒸し上げ、臼で充分につく、代々受け継ぐ生餅の製法を貫いている。二軒茶屋餅は、こし餡を薄い餅皮で包んで、きな粉をまぶした、昔ながらのきなこ餅。とてもやわらかい生餅に、上品でさっぱりとした甘さのこし餡、挽きたての香ばしいきな粉の味わいが、どこか懐かしい美味しさということでうけている。「赤福」、「へんば餅」と並ぶ伊勢の三大餅として親しまれている。